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  1. 企業動向

半導体需要、底入れの兆し

概要

  • データセンター向け半導体の需要一巡や米中貿易摩擦の影響で長らく落ち込んでいた半導体企業の株価が回復し始めている。
  • インテル、サムスン電子、クアルコムなど数多くの企業株価が株価を上げてきている。
  • しかし、既に底入れしたかどうか、見方は分かれている。

解説

回復し始めた株価

  • 年初に47ドルだったインテルの株価は、10月16日には52ドルまで戻した。
  • 同様に、年初に38,750ウォンだったサムスン電子の株価は、50,600ウォンまで戻し、年初に57ドルだったクアルコムの株価は、78ドまで戻した。
  • このように、各社軒並み株価を戻してきている。
  • 米国のNasdaq PHLXが算出・公表する、半導体関連企業の株式で構成される平均株価指数であるフィラデルフィア半導体株指数(SOX)も、年初に1200ドルを割る水準だったが、10月16日には1600ドルを超えた。

中長期的な半導体需要
の回復は確実視されている

  • まず前提として、中長期的に半導体需要が回復することはほぼ確実視されている。
  • あらゆる機器が通信でつながるIoT時代では、IoTを支える基地局などの5Gインフラ、5G対応の機器、データを保存しAIなどで処理するデータセンターなどあらゆる場所で半導体の需要が増えるためだ。
  • しかし、「メモリバブル」の崩壊と、米中貿易摩擦などにより、昨年から半導体需要は大きく落ち込んでしまっている。
  • 市場の関心は、落ち込んだ需要がいつ底入れし反転し始めるかということに注がれている。

企業業績は
回復し始めている

  • そんな中で、底入れの兆しとなっているのが、最近の半導体企業の決算発表だ。
  • インテルと半導体業界のトップの座を争うサムスン電子は、今月上旬に7-9月期決算を発表。
  • 19年4-6月期と比べて17%の増益となり、2四半期連続で直近の3カ月を上回っている。
  • 同様の傾向は、演算処理用半導体の製造最大手TSMCにも見られる。
  • 2019年7-9月期の決算では、営業利益が5四半期ぶりに増益となり、前年同月を13%も上回った。
  • これから他の半導体関連企業も7-9月期決算を発表するが、そうした企業でも業績が好調であれば、底打ちしたとの観測は一層広がるだろう。

販売数量や単価も
下げ止まりの兆し

  • 実際に半導体の販売数量や価格は下げ止まっているのだろうか。
  • 日経マネーの記事によれば、半導体の販売数量は年初と比べてやや上向いている。
  • さらに、DRAMの価格については2018年半ばから長らく続いた価格下落が、2019年7月頃にやや上向いている。
  • NANDの価格も2019年5月からは価格がほぼ下げ止まっている。

一方で底入れには
懐疑的な声も聞かれる

  • このように、半導体については株価、企業業績、販売数量・価格がそれぞれポジティブな数値を示しており、底入れをしたのではないかとの観測が広がる一方で、悲観的な声も聞かれる。
  • それは、本格的な回復をまだ果たしていないと思わせる要因がいくつかあるためだ。
  • 例えば、DRAMやNANDの価格下げ止まりは、日本政府の対韓輸出規制の影響による在庫増が主要因であり、一時的なものに過ぎないという指摘がある。
  • そもそも、今回の半導体下落の一因は、その前に「メモリバブル」があったためだ。
  • 2016年頃から、米IT大手のデータセンター向けにメモリ需要が大きく膨む「特需」が発生し、各社がその供給に邁進していたが、それが一巡し、需要が大きく落ち込んだ。
  • そして、その落ち込みを穴埋めするほどの需要はまだ発生していないとの考えが根底にはある。
  • 一部では新型iphoneなどに期待する声も聞かれるが、半導体の供給先であるスマホ市場は徐々に飽和してきており、需要はまだ弱い。

確からしいのは
中長期的な需要増加だけ

  • こうした悲観的な意見も見られるため、需要が底入れしたかどうかは判断が難しい。
  • すでに述べたように、7-9月期の決算が出そろえば一つの判断材料にはなりうるが、設備投資の抑制や、先に述べた対韓輸出規制による価格上昇など、本質的でない要因による業績回復の可能性はなお残る。
  • 結局確からしいのは、今後数年程度の時間軸では、半導体需要は増加に転じるということだ。
  • 既にサービス提供が始まっている、5Gによる半導体需要は確実に増加するだろう。
  • 基地局向けの半導体需要が今年から増えており、来年もその傾向は続くことが見込まれる。
  • 5G基地局というインフラが整えば、それからは5G対応スマホの需要が伸びる。
  • その先には、5Gにより爆発的に増加した通信データを保存し、AIなどで処理するデータセンターがある。
  • これらに向けた半導体の需要は確実に増加が見込まれる。

M&Aの進展も業界の
収益率向上を後押し

  • さらに、半導体業界はM&Aを通じてプレイヤーの淘汰が進んでいる。
  • 2019年3月にはルネサスエレクトロニクスが米IDTの買収を完了。
  • 2019年6月には 独半導体メーカー、インフィニオン・テクノロジーズが米サイプレス・セミコンダクターの買収で合意。
  • 2019年7月には半導体製造装置で世界首位の米アプライドマテリアルズが旧日立製作所系の装置メーカーであるKOKUSAI ELECTRICを買収することが明らかとなった。
  • GEや東芝の例のように、個社単位ではM&Aでのつまづきが生じる可能性はある。
  • しかしM&Aを通じた業界再編の先には寡占化があり、業界全体としては競争が緩和することで収益率は向上することが期待される。
  • この面からも、中長期的に半導体業界は回復を果たしていくと思われる。

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