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日米貿易協定、24日から審議入り

概要

  • 日米貿易協定が10月24日から審議入りする。
  • 政府は協定によって4兆円のGDP押し上げ効果と28万人の雇用創出効果があると主張するが、その前提となる自動車関税撤廃は、継続審議とされており、与野党の激しい論戦が予想されている。

解説

「第一段階」を首脳間で合意

  • 9月25日、安部首相とトランプ大統領はニューヨークで開催された日米首脳会談で、日米貿易協定締結に最終合意し、合意確認文書に署名した。
  • そこでは、日本側が米国産の牛・豚肉をTPPと同水準の関税に引き下げる一方、米国側は産業機械や化学品、鉄鋼製品など自動車を除く工業品について関税を撤廃、削減することが定められた。
  • トランプ大統領はこの合意を「第一段階」と呼んだ。
  • 今回の貿易協定が「第一段階」と呼ばれるのは、妥結のスピードを重視し、日本側のコメの無関税輸入枠導入や、米国側の自動車の追加関税撤廃といった重要事項を合意から外したためだ。
  • それ以降は「第二段階」という両国間のさらなる交渉が待ち受けている。

政府は「日米両国のウィンウィン」を主張

  • 政府は、今回の合意が日米両国にとって「ウィンウィン」だったと主張している。
  • 日本側の「ウィン」としては、協定が実施された場合、4兆円のGDP押し上げ効果と、28万人の雇用創出効果があると試算している。
  • 米国産の牛・豚肉の関税引き下げによって1030億円の関税収入減少が発生するものの、日本からの輸出にかかる関税支払いは2128億円減少すると試算。
  • これが生産や投資増などの経済の好循環につながるという理屈だ。

日本の農産物生産は打撃

  • 但し、「ルーズ」の面もある。
  • 安い米国産の農産物の輸入が増加することで、日本の農林水産物の生産は600~1100億円減少すると試算されている。
  • 品目別では牛肉が最大474億円、豚肉は最大217億円、乳製品は最大246億円の減少が見込まれる。
  • 今回政府は農業分野について「全て過去の経済連携協定(TPP)の範囲内」とのスタンスを表明しているが、実際には米国向けにセーフガードを新たに設けたことで、牛肉の輸入障壁はTPPより下がる可能性がある。
  • こうして農家へのダメージが見込まれるため、政府・与党は国内農家の支援策を年内にまとめる方針だ。

審議の論点は、
セーフガードと自動車追加関税

  • 国会での与野党審議では、そうしたセーフガードに加え、自動車の追加関税が論点になると思われる。
  • 米トランプ大統領は「通商拡大法232条」に基づき追加関税をちらつかせている。
  • 日本政府としてはそれを回避する約束を取りつけたかったが、協定でこれを明文化することはできなかった。
  • 安倍首相らは「日米両国は協議が行われている間、共同声明の精神に反する行動はとらない」と明記した日米の共同声明を根拠に、米側が「追加関税を課さない」と主張しており、更にそれを安部首相とトランプ大統領との間で口頭で確認したとしている。
  • これに対して野党は、「口約束」が明文化されていないことから、追加関税が回避できない可能性を指摘している。

「第二段階」は
厳しい交渉となる可能性

  • 「第一段階」が終わり、日本側にはコメの無関税輸入枠導入のカードが残ったが、米国に対しては自動車・同部品の関税撤廃や、232条を発動しないことを要求しなければいけない。
  • これはただでさえ米国側にとって簡単に飲める要求ではない。
  • さらに、トランプ大統領は2020年11月に大統領選を控えており、今後米国側の譲歩は一層引き出しづらくなる。
  • 「第二段階」は日本にとって厳しい交渉となることが予想される。

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