1. 産業政策

韓国からの観光客は実際どれくらい減っているのか

概要

  • 日韓関係の悪化で、韓国からの観光客が「激減」した地域があるとの報道が続いている。
  • 実際に韓国人観光客の減少は我が国観光産業にどれだけ影響があるのだろうか。
  • インバウンドにおける韓国の実態と、現状をまとめた。

解説

日本のインバウンド観光は
東アジアに大きく依存している

  • 日本政府観光局(JNTO)によれば、2018年の訪日外国人のうち、73.4%が中国、香港、台湾、韓国で構成される東アジアから来ている。
  • 次に多い地域は米欧豪だが、これは11.6%に過ぎない。
  • その次に多いのが東南アジア・インドで、これも11.2%に過ぎない。
  • 日本のインバウンド観光は、東アジアからの観光客に大きく依存していると言えるだろう。

韓国は中国に次いで2番目に
訪日外国人観光客が多い国

  • JNTOによれば、2018年には3119万人もの訪日外国人が日本を訪れた。
  • 国別で最も多いのは、中国(香港を除く)の838万人で、全体の26.9%もの割合を占めている。
  • その次に多いのは、韓国である。昨年は754万人が日本を訪れており、全体の24.2%を占める。
  • 上記数字はあくまで延べ回数ではあるが、韓国の人口が約5180万人であることを踏まえると、人口の約14%もの人が日本を訪れていることになる。

「韓国人観光客はお金を落とさない」
は本当か

  • 近年の反韓感情の高まりもあり、「韓国人観光客はお金を落とさないので、韓国の影響は軽微だ」という声が聞かれる。
  • あくまで客観的・定量的にこれを検証してみたい。
  • 統計を見る限り、確かに韓国は、日本での平均滞在日数も、平均消費額も、調査国中では最も低い。
  • JNTOによれば、訪日外国人の平均滞在日数の平均は5.2日であるのに対し、韓国は約半分の2.8日に過ぎない。
  • JNTOのデータベースに掲載されている数十か国の中でも、韓国の平均滞在日数は最も短く最下位だ。
  • 滞在日数が少ないので当然と言えば当然だが、2017年の訪日外国人旅行者1人当たりの旅行支出額でも、全体平均が 15.4万円だったのに対し、韓国は約半分の7.2万円と約半分に過ぎない。
  • 確かに、観光客1人1人は「お金を落とさない」と言える。
  • しかし、韓国は観光客数が多いため、総額ではお金を落としている。
  • 例えば、2018年の旅行消費額では、「爆買い」をする中国が1位だ。
  • その額は1兆5370億円で、全体の34.1%と、圧倒的な割合を占めている。
  • しかし、それに続く第2位の旅行消費額は韓国が支出している。
  • 金額ベースでは5842億円で、比率では全体の13%を占める。
  • したがって、韓国人観光客は「1人1人が落とすお金は少ないが、総額では沢山お金を落としている」のであり、観光客数が減少すれば、日本の観光産業には少なからぬ影響があることは間違いない。

韓国の観光客減少の
影響が大きいのは九州

  • では、地域別に韓国人観光客の減少の影響を受けやすいのはどこだろうか。
  • これについては以下にグラフを作成したので参照頂きたい。これは、2017年に、各国からの観光客がどの地域ブロックを観光したかの構成比を比較したものである。
  • 中国、台湾、米国、仏は行先として関東が最も多い。特に米国と仏はこの傾向が強く、行先の半数以上が関東になっている。
  • 一方で、韓国は九州が最も多く、次に近畿が多いのが特徴だ。関東は、全体の行先の2割にも満たない。
訪日外国人の行先(地域ブロック単位)/出所:JNTOデータを元に著者作成
  • つまり、韓国の観光客が減少すると、相対的に関東はそれほどダメージを受けないが、九州や近畿地方はより大きなダメージを受けるのだ。

脱・韓国を迫られる観光産業

  • 政治問題を発端として、韓国人観光客の減少は確実に進んでいる。
  • 2019年8月に日本を訪れた韓国人観光客は、前年同月から48%減って30万8700人 まで落ち込んだ。
  • 中国をはじめとする他の国からの訪日外国人数はまだ伸びていることを踏まえれば、異様な動きと言えよう。
  • 報道ベースでは、九州や沖縄の観光産業への打撃が大きく、特に対馬の影響は深刻だ。
  • 何せ2018年に対馬市を訪れた観光客は約53万7千人で、韓国4分の3は韓国人が占めていたと言われるのだ。
  • 現状では日韓の政治問題が解決する見通しは立っておらず、観光客の減少は当分避けられまい。
  • そのため、対馬を始めとして韓国人観光客が多かった観光地では、脱・韓国を迫られることになる。
  • 突然「大口顧客」を失った格好ではあるが、今後の外部環境がずっと暗いままなわけではない。
  • アジアの近隣諸国は、これから更なる経済成長を遂げ、個人所得も人口も伸びていく。
  • そうした観光客が今後更に増えていくと見込まれているので、それを取り込んでゆけば、韓国人観光客の減少分はゆうに穴埋めできる。
  • 訪日外国人観光客数は、2012年から2017年の5年間で、3.5倍に増加した。
  • 観光庁の目標では、訪日外国人数は2020年に4000万人、2030年に6000万人に達する。
  • たかが目標だと侮ってはいけないだろう。
  • 訪日外国人の誘致活動は、日本政府が官民一体となって実施した産業政策の中で最も成功したものの一つなのだ。
  • 新たな顧客をどう取り込んでいくかという前向きな経営方針が、今観光産業には問われているのではないだろうか。

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