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  1. 産業政策

日本のサンマ漁獲量が過去50年で最低となる見込み

概要

  • 日本のサンマ漁獲量が年々減少している。
  • 2009年に30万トン以上あった漁獲量は、2018年には12万トンまで激減した。
  • さらに今年はそれを下回る目算で、過去50年で最低の漁獲量となりそうだ。

解説

8月上旬は衝撃の水揚げゼロ

  • サンマ漁は、8月上旬から、20トンクラスの小型船が出始め、徐々に中型船、大型船とよりサイズの大きい漁船が出始める。
  • 2019年は、8月上旬に出発した小型船でなんと全くサンマが獲れなかった。
  • その後、8月下旬になって、初めて全国一のサンマの水揚げを誇る北海道根室市の花咲港で大型船から水揚げがされたが、これも水揚げ量は極めて少なかった。
  • これまでにない、異例の少なさとなり、各地で秋の味覚を祝うイベントはサンマ不足に陥った。
  • 毎年サンマを無料で配る東京の名物祭り「目黒のさんま祭り」も、今年は仕方なく冷凍サンマを使うことになった。

水産庁の予想が的中した

  • 水産庁は今年のサンマが不漁になることを、正確に予測していた。
  • 水産庁は7月末に「サンマ長期漁海況予報」を発表。
  • 「9月中旬までの来遊量は極めて低調に推移」すると予想。
  • サンマの寿命は約2年のため、獲れるものは0歳のものと1歳のものがいるが、今年は1歳のものがあまりとれず、とれても体重が例年より2割ほど少ないと予想していた。
  • 予想のため、水産庁は今年の6-7月にかけて、日本の東方沖で、サンマの漁獲調査を行った。
  • 過去からの蓄積データに基づき、海域ごとの調査でどれくらいサンマが獲れれば、いつ頃、どの海域で、どれくらいの漁場ができるのかわかるのだ。
  • 今年の漁獲調査では殆どサンマがとれなかったため、水産庁は今年の漁獲高が極めて低調に推移すると予想し、それが的中した格好になっている。

サンマの生態と
日本のサンマ漁の仕組み

  • サンマが獲れなくなった理由を考えるためには、まずサンマの生態を知る必要がある。
  • サンマの一生は、日本の南方沖で始まる。
  • そこで卵から孵化したサンマは、暖かい黒潮に乗り、徐々に日本近海を北上していく。
  • そして、夏になると北海道の東方の北太平洋を回遊しながら成長する。
  • この海域は栄養が豊富で、様々な魚や海洋哺乳類の餌場になっているのだ。
  • やがて8月になると、今度は寒流の親潮に乗って南下を始める。
  • まるまる太って脂が乗ったさんまを、北海道沖や東北沖で漁獲するというのが日本のサンマ漁のやり方だ。

地球温暖化と外国漁船が
漁獲量を減らした

  • サンマが獲れなくなった理由として挙げられるのは、地球温暖化と、外国漁船の影響だ。
  • まず、温暖化の影響で、日本近海の海水温は確実に過去から変化している。
  • 海水温がサンマの回遊エリアに大きな影響を及ぼすとすれば、海水温の変化によって、従来漁を行っていた海域にサンマが寄り付かなくなっている可能性がある。
  • 但し、海水温とサンマが回遊する海域に関して明確な因果関係を証明した研究結果はまだない。
  • 確実に言えることは、外国漁船が日本より「上流」にいるサンマを獲っていることで、日本の漁獲量が減っていることだ。
  • 日本のサンマ漁は、比較的小ぶりな漁船で、8月から日本近海でサンマを獲り始める。大きな漁船でも200トンクラスだ。
  • しかし近年、中国や台湾の1000トンクラスの大型船が、日本が漁を始める前に、それより東方の海域で大量にサンマを獲っている。
  • 特に中国や台湾の漁獲量が大きく、台湾は2015年にサンマの漁獲量で日本を抜き、もはや世界一位になった。
  • 「上流」を抑えられたことで、日本の漁師が獲れるサンマは確実に減っている。

7月の国際合意で一歩進んだ
サンマの漁業資源管理

  • 減り続けるサンマ漁獲量に危機感を抱いていた水産庁は、以前から国際合意の機会を探っていた。
  • 2017年からは、中国、台湾、ロシアなど8か国に対し国際合意の形成を打診していたが、中国がデータ不足を理由に断り続けてきた。
  • しかし、今年7月に開かれた北太平洋漁業委員会(NPFC)では、中国が歩み寄りを見せ、2020年から北太平洋での漁獲枠を年間55万トンにすることで合意した。
  • 明確なルールを設定できたことは、日本のサンマの漁獲量にプラスの影響をもたらすことが期待されている。
  • 但し、2018年の実績が44万トンだったことに鑑みれば、年間55万トンの漁獲枠は、比較的余裕のある数字だ。
  • 今後、サンマの持続的にサンマ漁を行う上で適切な上限を改めて算出し、必要に応じて更なる削減を合意していく必要がある。
  • また、漁獲量は自己申告制度のため、相互監視する制度を各国間で合意することで、形骸化を防いでいくことが必要になる。

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