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  1. 企業動向

SBI、「第4のメガバンク」を目指し島根銀行に出資

概要

  • 9/6、SBIホールディングス(以下SBI)と島根銀行は資本・業務提携すると発表した。
  • 島根銀行の増資分をSBIが引き受け、グループ全体の出資比率は34%となる見通し。
  • SBIは全国の地方銀行と資本提携する構想を掲げており、その第1弾となる。

解説

SBIとは

  • SBIは、1999年に設立されて以来、急速に成長した日本の金融企業である。
  • 元々はソフトバンクの管理本部で、同社が純粋持株会社に移行した1999年、管理本部を抜き出し、ソフトバンク・ファイナンスを設立したのが始まりだ。
  • ソフトバンク・ファイナンスは、その後、ソフトバンクグループの金融関連事業を統括する中間持株会社として機能した。
  • そしてその後、2000年にナスダック、2002年に東証一部に上場を果たした。
  • ソフトバンクは公募増資などにより徐々に株式の保有比率を減らしていき、2005年にはソフトバンク・ファイナンスは完全子会社から、持分法適用関連会社になった。
  • このタイミングで、ソフトバンク・ファイナンスは現在のSBIホールディングスに商号を変更した。
  • そして、2006年にSBIホールディングスは持分法適用会社でもなくなり、独立した。

SBIの事業概要

  • 2019年3月期のSBIの売上は、約3500億円だ。
  • 売上のセグメント別比率は、金融事業が65.2%、アセットマネジメントが33.7%。
  • バイオ関連事業もあるが1.1%に過ぎないため、この2つがメイン事業となっている。
  • 金融事業は、証券(SBI証券)、銀行(SBI銀行)、保険(SBIインシュアランス)と幅広く手掛けている。
  • アセットマネジメントは投資事業のことで、国内外のフィンテック、IT、ブロックチェーンやバイオ関連のベンチャー企業等に投資を行っている。

近年はSBIの技術を使い
地銀のオペレーションを支援

  • SBIはこの数年間で、地銀との提携を大きく増加させてきた。
  • 2017年の清水銀行を皮切りに、愛媛銀行、筑邦銀行、京葉銀行とどんどん増やしていき、現在では35の地銀に対し、SBI証券の金融商品・サービスを提供している。
  • SBIはその見返りとして、地銀の顧客をSBI証券のネット口座につないでもらっている。
  • また、SBIと地銀、双方の社員が常駐し、資産運用の相談に応じる共同店舗「マネープラザ」も増やしている。
  • 「マネープラザ」では、証券だけではなく、保険や不動産売買など、様々な提案を行えることで、顧客満足度を高め、商機を拡大する狙いだ。

島根銀行とは
資本提携まで踏み込んだ

  • そんな中、9/6にSBIは島根銀行と資本・業務提携すると発表した。
  • 島根銀行が第三者割当増資を実施するが、その34%にあたる25億円をSBIが出資する。
  • 島根銀行は貸し出しや手数料収入といった本業の収益が振るわず、2期連続の減収に陥っている。
  • 島根銀行は、出資による財務面での支援に加え、オペレーション上の支援も受ける。
  • 具体的には、SBIの金融商品を顧客に提供するほか、同社が得意とするフィンテックのサービスや資産運用でも支援を受ける。
  • 一方のSBIは、島根銀行の顧客をネット証券サービスなどに誘導することで顧客を増やす。

地銀がSBIの技術を欲しがるのは
経営が行き詰まっているため

  • SBIが35もの金融機関と提携できたのは、地銀の経営が行き詰まり始めたからだ。
  • マイナス金利の長期化により、金利で稼ぐ貸し出しなどの伝統的な金融サービスが儲からなくなっている。
  • また、電子決済の普及により、地銀を通さずに決済する消費者が増え始めており、手数料も収益が減り始めている。
  • こうした課題に対し、フィンテックを活用して顧客接点を再獲得したり、業務効率を高めてコストを下げたりしなければ、地銀は生き残ることができない。
  • しかし、メガバンクと異なり、投入できる人・モノ・金といった経営資源が限られている地銀は、自前で技術やシステムを揃えることができない。
  • そこで、既にSBI技術やシステムを持つSBIの力を借りようと考えているのだ。

SBIは地銀を束ね
「第4のメガバンク」を目指す

  • SBIは今後、地銀を束ね、「第4のメガバンク」を目指すと宣言している。
  • それを実現するために、島根銀行との提携で使ったような、共同持株会社というスキームを活用する。
  • 共同持株会社にはSBIグループが過半を出資し、経営を主導するのが基本構想だ。
  • メガバンクや有力地銀、さらに「一体感」を出すため、支援先の地銀からも出資を募るが、主役はあくまでSBIだ。
  • SBIが取っているのは、典型的なオープン戦略だ。
  • まずSBIは自前で金融システムを用意できない弱小の地銀に対し、自社のシステムをオープンにして提供する。
  • 技術の根幹はクローズにして決して開示しないが、経営に行き詰っている地銀はそれでも喜んでシステムを使う。
  • 大手メガバンクは従来から使っている自前のシステムを改修しながら運用するが、ある時気づけば、多くの地銀がSBIのシステムを使っている状況が生まれうる。
  • その時、SBIのシステムを利用している地銀があまりに多ければ、もはやメガバンクは自前のシステムではSBIのシステムに太刀打ちできず、機能で差をつけられ収益が悪化するか、あるいは自分もSBIのシステムを採用することになるだろう。
  • いつの世も、プラットフォーマーは自社のシステムや商品を弱者に提供することから生まれ始める。
  • 金融業界において、SBIは今まさにその立ち位置にいる。


<参考記事>
日銀の長期金利がマイナス0.2%を下回る

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