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米国でボルカー・ルールが一部緩和

概要

  • 8/20、米金融監督当局の通貨監督庁(OCC)と連邦預金保険公社(FDIC)は、リーマンショック後に投機的売買を禁止する目的で作られた「ボルカー・ルール」の一部緩和を決定した。
  • これまで曖昧だった禁止行為の判断基準が明確になり、銀行の取引活発化が期待されている。

解説

ボルカー・ルールとは

  • ボルカー・ルールとは、リーマンショック後に、金融機関の投機的な取引を制限するために設けられたルールだ。
  • まず1つ目に、自己勘定取引が制限された。
  • 自己勘定取引とは、銀行が、自らの資本を利用して、投資を行うことだ。
  • 米国の投資銀行では、昔から自己勘定取引が収益源の1つだったが、リーマンショックで金融機関に多額の不良債権が生まれた反省から、規制された。
  • 2つ目は、同様の理由で、プライベートエクイティ(PE、未公開株)やヘッジファンドへの投資が制限された。
  • 銀行は、個々のプライベートエクイティファンドやヘッジファンドの総資産の3%以上の出資を行うことなどが禁止された。

緩和の要因となったボルカー・ルールの問題点

  • ボルカー・ルールは問題があるとして、長年批判されてきた。
  • 1つは、自己勘定取引の制限に付けられた例外規定が、曖昧で混乱を招いたことだ。
  • ボルカー・ルールでは、自己勘定取引を制限しつつも、顧客のためのマーケットメイキングや引き受け業務を例外としていた。
  • マーケットメイキングとは、銀行が、債券などの売値と買値の価格を提示する行為のことだ。
  • これによって、一般投資家は、最適価格を提示した銀行を選び取引を行う。
  • そうして選ばれたマーケットメーカーは、その後の債券の清算委託業務などの引受業務を行う。
  • こうしたマーケットメイキング業務は、一般投資家が株式や債券の売買をするために必要な行為で、リーマンショックで批判を浴びたような投機的取引ではないため、例外とされた。
  • しかし、実務上は、日々取引する膨大な債権のうち、どれがマーケットメイキングのためのもので、どれが投機的なものなのか、峻別することが難しい。
  • そのため、銀行は本来問題ないはずのマーケットメイキングそのものにも二の足を踏み、取引を抑えるようになってしまった。
  • さらに、ボルカー・ルールでは、自らの取引が投機的ではないことの立証責任を銀行側が負っており、そのために膨大な事務コストがかかることが問題になっていた。

今回の緩和策「ボルカー2.0」の内容と影響

  • 今回の緩和によって、「投機的な自己売買ではない」と銀行側が証明しない限り、保有期間が60日未満の持ち高はルール違反になる、という例外規定がなくなる。
  • また、今回の改正では、売買規模の小さい中小金融機関に多くの義務も免除される。
  • 今回の「ボルカー2.0」によって、銀行の取引が活発になり、市場の流動性が増加することが期待されている。
  • また、これまで投機的取引をしていないことの立証のためにかかっていた事務コスト削減も見込まれ、銀行の業績にプラスの影響を与えらと見込まれる。

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