1. 企業動向

南アフリカでVW、BMW、日産がEVの輸入関税引き下げを政府に要求

概要

  • 南アでは、VW、BMW、日産などのEVメーカーが、販売を増加させるため、南ア政府にEVの輸入関税引き下げを求めている。

解説

一見南アの自動車産業政策に
反するEVの輸入関税引き下げ

  • 南アフリカはアフリカ大陸最大の自動車生産国である。日系自動車メーカーではトヨタ、日産、ホンダ、 いすゞ自動車 が、欧州系ではVW、BMWなどが生産拠点を構えている。
  • しかし、生産台数は過去10年間、60万台程度で低迷している。2018年の生産台数も61万台に終わった。
  • 生産が増えない構造的な要因は、南アの生産コストが他のグローバル生産拠点と比べて高いこと、地場サプライヤーが極めて少ないこと、アフリカ大陸の経済成長が一向に進まず、近隣諸国への輸出ができないことが挙げられる。
  • 停滞する自動車産業を振興するため、南ア政府は2018年に自動車産業政策「南ア自動車基本計画2035(SAAM)」を発表した。SAAMは、現在60万台規模の自動車生産を、2035年には140万台まで増加させる意欲的な目標を掲げている。
  • そんな中、EVメーカーのVW、BWW、日産は、EV輸入関税の引き下げを南ア政府に迫っている。
  • EVの輸入関税引き下げは、南アで国内生産する自動車の価格優位性を打ち消すに等しく、一見SAAMの路線に逆行していると言えよう。
  • EVメーカーは「環境にやさしいEVの普及」という大義を掲げて、自社のEVを南アに売り込むメリットがある。しかし、南アにとってEVの輸入関税引き下げのメリットは何だろうか。

南アは、小型自動車の輸入関税を
引き上げ、自国生産の増加が狙い

  • 南アでは、ガソリンエンジンで動く乗用車に対する輸入関税は18%であるのに対し、EVには25%の輸入関税がかかる。また、電池価格が高いEVは、車両価格も高いため、奢侈税が17%追加でかかってしまう。こうした租税制度が、南アでEVを輸入する障壁になっていることは事実だ。
  • そこで、VW、BMW、ルノー(日産)などのEVメーカーを抱えるEUは、現在南ア政府と行っている関税交渉の中で、EVの輸入関税引き下げ求めている。
  • Green Capeによれば、南ア政府はこれを認める方向で交渉をしているが、その交換条件として提示しているのが、現在輸入関税が一切ない小型車(排気量1000cc以下)の輸入関税の引き上げだ。
  • 自由貿易を推進するWTOが成立して以来、一度設定した関税を引き上げることは極めて困難になった。現在の米中貿易摩擦のように、相手国の不正を理由に制裁的に関税を引き上げるか、相手国から「譲許」をもらわなければ、関税を引き上げることはできない。
  • そこで、南ア政府は、EUの要望を飲む代わりに、EUから輸入する小型車の関税引き上げを「譲許」してもらおうとしている。
  • ある有望なセグメントに狙いをつけて、その生産を支援するのは自動車産業政策の定石だ。南アの場合は、国内の販売シェアが高い小型車か、ピックアップトラックの2つが候補と目されていた。
  • 今回のEV関税引き下げから、南ア政府が、自国の小型車生産を支援しようという意図が見て取れる。

9/15追記
参考記事を共有させて頂きます。2019年に公表された文献です。
https://www.abrbuzz.co.za/publications/press-and-customers/naamsa/AutomotiveExportManual2019.pdf
https://www.greencape.co.za/assets/Uploads/ELECTRIC-VEHICLES-MARKET-INTELLIGENCE-REPORT-WEB4.pdf

企業動向の最近記事

  1. 737MAX運航停止で対応に追われるFAAとボーイング

  2. 世界で5G通信網を構築するファーウェイ 米国は包囲網を作れず

  3. 「卒FIT」で商機獲得に向け動く企業、仮想発電所構想も

  4. 半導体需要、底入れの兆し

  5. かんぽ不正販売問題と日本郵政グループの今後

コメント

  • コメント (0)

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

PAGE TOP