1. 企業動向

羽田空港、2020年3月から横田空域を通過する国際線の新ルートを運用開始

概要

  • 羽田空港は、2020年3月から横田空域を通過する新たな飛行ルートの運用を開始する。これによって羽田空港の旅客数は年間700万人の増加が見込まれる。

解説

五輪対応を含む訪日外国人受け入れのため、
横田空域を飛行する新ルートを開設

  • 今回新ルートを開設した目的の1つは、急増する訪日外国人の需要に応えるためだ。
  • 訪日外国人数は、2009年から2018年の10年間で、4倍以上に増加し、今後も増加が見込まれる。また、2020年の東京五輪では、多くの外国人が訪日する。そうした需要に応えるため、羽田空港の供給能力増強が必要だった。
  • もう1つの目的は、中長期的に、羽田空港と成田空港のアジアにおける空港としての地位を押し上げることだ。現在、競合であるアジアの主要都市の年間旅客数は、香港が7,200万人、ソウルが6,600万人、シンガポールは6,200万人に対し、羽田空港と成田空港の合計は、5,000万人にとどまる。東京はアジアでいち早く成長を遂げた都市であったにもかかわらず、さまざまな制約条件を抱えていたために他の主要都市の後塵を拝してしまった。
  • そこで今回日本政府は、「横田空域」を使えるよう米国政府と交渉し、新ルートの開設を認めさせた。これまで羽田空港は、空港の西側に飛行機を離発着させることが制約されており、それが供給のボトルネックとなっていた。羽田空港の西側、東京都西部に位置する在日米軍横田基地が管制する「横田空域」を民間航空機が飛行することを、米国が認めていなかったためだ。
  • 今回米国との交渉が成功したことで、羽田空港の国際線発着数は現在の年間6万回から、9.9万回、年間旅客数は5,000万人から5,700万人に増加する。

成田空港の供給能力
増強も始まる

  • 新ルートにより生まれた新たな発着枠は、既に航空会社に割り振られている。新たな発着枠を使い、今後航空会社は既存路線を、成田空港から、都心へのアクセスがよい羽田空港に移管していくだろう。
  • 増加する発着便数50便のうち、約半数となる24便が米国の航空会社に割り当てられた。横田空域の航空管制を日本へ渡す見返りだったのだろう。8/10には、デルタ航空が成田空港に持っている成田 – シアトルや成田 – アトランタなどの路線を全て羽田空港に移管することを発表した。今後ユナイテッド航空、アメリカン航空、ハワイアン航空なども同様の対応をとると思われる。
  • しかし、成田空港は衰退していくわけではない。羽田空港の供給能力の伸びしろが減ってきている中、訪日外国人は増え続けており、不足する供給能力を成田空港が担う必要があるためだ。また、古くは1960年代の三里塚闘争(通称成田闘争)から続く、地元での反対運動も、騒音対策がなされていることや、競合空港の躍進から徐々に和らいでいる。
  • 成田空港を運営する成田国際空港株式会社は 、手始めに10月末からA滑走路の発着時間を1時間延長し、 午前0時までとすることで、発着枠を増やす。
  • さらに、新たな「第3滑走路」を準備しており、2020年代中頃の運用開始を目指している。同社は、これまで第3滑走路の完成を2020年代後半と計画していたが、それを前倒しした格好だ。
  • こうした対応により、成田空港も供給能力を向上させていくだろう。

羽田空港、成田空港ともに
アクセス改善が必要

  • 既に述べたとおり、2020年代中ごろには、羽田空港、成田空港の供給能力増強がひと段落する。その時、東京の旅客数はアジアの主要都市だけでなく、ニューヨーク、ロンドンといった世界的な都市の水準に近づいているだろう。
  • しかしアクセスの悪さがなお課題として残る。例えば、どちらの空港も、深夜に到着した場合、鉄道やバスが動いていないため、旅行者は空港近くのホテルに泊まるか、タクシー代を払って移動するしかない。
  • こうした課題を放置しては、都心まで距離がある羽田空港、成田空港の評価はいつまでも改善されないだろう。
  • 羽田空港、成田空港がアジアでの地位向上を目指すのであれば、供給能力といったハードな能力増強だけでなく、二次交通の強化といったソフトな能力増強を行う必要がある。

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